現地時間 三月八日

サウサリートへ向かう。観光の最終日だ。

サン・フランシスコ市街から同地へ至るためにはゴールデン・ゲート・ブリッジを渡らなければならない。サイクリングのルートが人気であり、実際にガチのサイクリストも多い。倣い自転車をレンタルする。
レンタル店は宿からほど近い。クリーニング屋と併設されており、レンタル店の扉は閉まっている。クリーニング屋の扉を開けると十五秒ほどしてアジア系のおばさんが出て来る。アイドライクトゥボロゥトゥーバイクス、と言うとオッケーオッケーとのハンド・サインを示す。アジア系のおじさんも出て来る。
雨が降っていないからサイクリングは快適だ。IHOPにてステーキとパンケーキ(ステーキがめちゃ旨い)をチャージし、先日も訪れた写真ポイントのあるヨット停泊場を右に見ながら金門橋を目指す。
キツい坂を登るとすぐ金門橋へ到着だ。歩行者およびサイクリストのための道が常に解放されており橋の上へと進む。
おー、右手に市街が一望できる。これはまさしくベイ・シティだと思う。コイト・タワーやもう一つの大橋(名前しらない)なんかが全て波の向こう側にあるのだ。
金門橋はかなり長い。すたすた歩いたとしても三十分はかかるんじゃあないだろうか。実際にはパシャパシャ写真を撮りながら進むものだからもっと時間がかかる。
そしてワイヤーがとにかくデカい。村上春樹は、このワイヤーの太さを以て、大きな胸を誇る女性のするブラの紐を喩えていた気がするなあ、と思い出す。
橋を渡りきると山間部の下り坂だ。自動車も多く走り、自転車レーンは単なる線引きのため走行には注意を要する。けれど下ればサウサリートの町はすぐそこだ。
町は極めてこじんまりとしている。山を見ればミニチュアのように美しい家々が連なっているけれど、大通りは少し歩くと直ぐ行き詰まる。なんとなく、さびれているような印象さえ受ける。からりと晴れた夏がシーズンなのだろう。個人商店には北朝鮮のデパートみたくモノがなかった。
暗くなると余計に危ないから夕食前にシスコ市街へ戻る。夕闇の中の金門橋は美しい。市街やさらに遠くの市街の光も相まれば、世界一美しい橋とのふれこみにも頷ける。写真をパシャパシャ撮る。
今までサーチしていなかったチェスナット通りを歩く。土産のTシャツを買おうと、ミラーの24オンス缶を飲みながらファーマシーのレジに行ったら女性店員にくすくす笑われてしまった。日本でもしないもんな。
Yelp!にてチェスナット通り上位ランク・インのSUPER DUPER BURGERSへ入店する。フリーのピックルスはかなり辛く面白い味がする。ハンバーガーは、とっても旨い!パテが厚くジューシーだ。きちんと火が通っている。ガーリック・フレンチ・フライもとっても旨い!のった草とチーズが良い調子だ。チェーンなんかよりも安いし、同じ味のまま東京に出店したら間違いなく流行るだろうなあ、と思うハンバーガー屋だ。最後の晩に素晴らしいアメリカ料理を食べることができた。御馳走様。



初めてアメリカ本土を訪れてみて最も強く感じたことは、とりあえず、以下の二つことである。

・街、道が大きい。治安の懸念もあるから歩きまくるにはあまり向いていない。
・肉、野菜が美味しい。充分に太陽を浴び充分に栄養を摂った味がする。

中学生のころから漠然とあこがれていたロス、のみならず、ヴェガスとシスコにも足を伸ばすことができたから幸せである。今日帰国する。