現地時間 三月七日

フィッシャーマンズ・ワーフへと向かう、前に海辺を散策する。

ロンバード通りを西進するとPalace of Fine Artsとその先の砂浜に出る。強い雨だし波もかなり激しいからサーファーはいない。ペットを散歩させる人や観光客はいる。
そしてゴールデン・ゲート・ブリッジが在る。ガイド本にココが良く見渡せるスポットだとあったのだ。けれどもちょっとした土砂降りぽくなり手が冷たく眼鏡が濡れ何も見えない。だから写真を撮ることは難しい。
けれどもすぐに止む。そして晴れる。とても見事な青い空だ。シスコに来てから天気がずーっと崩れていたから、快晴というものは数日ぶりに体験した気さえする。
赤、朱、オレンジ、青とのコントラストはいずれも美しい。橋の両端には白い家屋が見える。右手にはサウサリートの町やさらに右手にはアルカトラズ島が、そしてさらにその右手にはオークランドの街なんかがはっきりと見える。
アルカトラズ島を見るたびに、泳いだら簡単に脱獄できたんじゃあないかな、と思う。いまは東進している、つまりアルカトラズ島がぐんぐん接近するのだからその思いはますます強くなる。腕利きの狙撃手でもいたのだろうか?鮫?

道中ギラデリ・スクエアなる建物が在る。煉瓦造りが美しい。元々はチョコレート工場として建てられたものだということだ。夜になるとGhirardelliの文字がキレイだ、とあったけれど本当にその通りだと思う。道路標識と同じく文字部に豆電球が埋め込まれているからだ。そしてスケールはこちらが優っている。

フィッシャーマンズ・ワーフは近い。Pier47だのPier41だの看板が現れる。ヴェニス・ビーチ的土産物屋も現れる。路地を曲がれば浮浪者も現れる。
我々が目指すのはHard Rock Cafeだ。すぐ見つかる。看板が分かりやすくて良いね。
土産部を見てからレストラン部に入る。おー、The Byrdsのサイン入ギターが飾ってある。The BeatlesのギターやMichael Jacksonのハット、ほか有名ロック・アーティストの品々、レコード、写真なんかが壁面いたるところに飾られている。動画だけれど音楽も良い。
サンドウィッチを二つ注文する。チキンとポークだ。少しお高いけれど、こうしたド商業主義レストランにしては味は良いと思う。付け合わせのフレンチ・フライもイケる。ちゃんと芋だ。御馳走様。
Wi-Fiルーターを失くすところだった。注文しメニューを返すときにそこに挟み込んでしまっていたのだ。全従業員に訊ねて見つけ出してくれたJake、いやロックで名前は聞き取れなかったのだけれど、に感謝!)

まだ二十一時くらい、ということだから、ストックトン通り→コロンバス通りを歩きCity Lights Bookstoreを訪れる。ビートの一人が始めた書店兼出版社だ。たしかに店内にはギンズバーグバロウズ、そしてケルアックなんかの写真が多数貼られている。書店前にてギンズバーグボブ・ディランが撮った一枚が特に良かったな。たのしそうだった。
もちろんビートらの書物が充実している。へえーこんなにあるんだあ、という具合だ。ビートの主要作家の人生をコミック風に解説した本まである。
良いねと感じた点はチェアやソファの多い点だ。付近には"Sit down and read now."、"Open your books and open your mind."なんて貼紙が在る。実際に座り読む人もちらほらいる。
卒業論文のよしみから村上春樹の本を探してみると1Q84だけ見つかった。表紙に『生きながら火に焼かれて』ばりの女性の顔アップが採用されていたり、装丁は単行本版とはかなり異なる。一巻本であり、詳しく確認はしなかったけれどBook 1からBook 3をあの一冊に収録しているのだろうか?しかも$16程度?
そう言えばジャパン・タウンのKINOKUNIYAにはWindPinballの二編が収められた一冊があったな。でもこれらって未熟だからとかいう村上の意向から外国語に翻訳していなかったんじゃあなかったっけ?解禁した?
店内の貼紙とポスターによって趣のある書店になっていた。周囲のイタリア人街と中国人街によるわちゃわちゃ感も似合っている。

明日も晴れると良いなと思っていた昨日だけれど、これを書いている今日、晴れている。