博多・天神・大名・中洲・今泉

五月六日

出勤する。
眠い。起床時間が早いからだし、研修会場が遠いからだ。
なんばに繰り出し同期十数名と飲む。モー娘。を歌い踊る。
早退し梅田に向かう。夜行バスに乗る。聴きながらうとうと眠る。下関のSAに停まった際に起きる。腰が痛くなるけれど良く眠れる。

五月七日

博多駅・筑紫口とかいうところに着く。
二つの意味から右も左も分からない。九州には初めて来るし、疲れている。
駅ビルなどを見物しバスに乗り天神に向かう適当なネット・カフェにピット・インし休む。
昼、岩田屋という老舗百貨店を見物し歩き大名に向かう。ショップとヘア・サロンと飲み屋とラーメン屋が多い。
目に付いた 一幸舎 というラーメン屋に入る。なんと各席にIHヒーター?が完備されている。どうやら〆の雑炊を作るための設備らしい。
腹が空いていないから雑炊は頼まずラーメンを頼む。すぐに来る。スープを飲むと、甘い。麺は硬度も香味も普通だ。さっさとずるずる食べ終え、白胡麻や白い生姜や辛い高菜などを投入しつつ、またスープを飲む。良く良く混ぜた納豆みたいな味がする。とても美味しく感じる。全て飲んでしまう。味が相当しっかりしているにも関わらず、決してオイリーではない。むしろサラサラしている。洗顔にとても向いていそうである。
再び大名の街を歩く。ショップの店員さんのうち十割が話しかけてくる。とても気さくだ。外タレの来るクラブに行くため初めて福岡に来た、と言うと驚かれる。たしかに驚かれるべき行動かもしれない。
夕方、Nさんと警固神社わきの広場にて落ち合う。相変わらず良い意味の軽口を叩く。洒落たコーヒー屋に入り昔の同僚やスター・ウォーズ出エジプトなどについて話し合う。それから大名にある すいか という海鮮が売りの居酒屋に入る。高校の同級生が働いているらしい(バリ良い人やった)。なんとNさんが断った高校の同窓会が すいか にて開かれており笑う。気まずいらしいけれど挨拶に行くし、写真を撮りもする。そう言えば すいか 入店前も先輩に呼び出されていた。Nさんの言う「福岡は狭い」の意味が分かる。たいていは楽しいと思うけれどな。
料理は、突き出しからビーフンまでかーなり美味しい。炙られている!と言いたくなる炙った鰹、甘く粘度のあるイカ、再び炙ったサーモンがとくに美味しい。ご馳走様でした!
さて、最大目的のクラブに向かう。Keith Flackとかいうハコであり、フロアは狭い。音も、正直に言って、うんうん良いね、とは言えない。ただ、イベントが最高だ。Paul Tなどが来ており、揃いも揃ってエレクトロニカ風味の辺境系(シーシケバブー♪シーシケバブー♪には笑ってしまったをしつこいまでに流しまくる。常に四つ打ちが入っているから遅れをとらない。二十二時からイベントの終了した二十七時まで、文字通りノン・ストップに踊り続ける。ラスト一時間、首と腰が千切れそうになる。これを書いているいま八日、まだまだ痛い。他のお客さんたちもノリが良かったのよね。普段であればもう少しビールを浴びるけれど、結果として二杯しか入れなかった。これほど音を浴び続け踊り続けたハコ体験て前例がない。みんな言ってる通り、たまには現場に行くべきだ。Nさんは、案の定と言うべきなのだろうけれど、ベロンチョになってしまった。GさんというNさんの先輩?に送ってもらった。Nさんによるとハシゴする予定だったけれど、七日の夜はやり尽くしたから無理する必要は全くなかった。最高潮の気分のまま終えられて良かった。

五月八日

朝、 がんこもん というラーメン屋に入る。無論とんこつラーメンを出す店だ。詳しく言えばいわゆる博多ラーメンと呼ばれるラーメンには博多ラーメン、長浜ラーメン久留米ラーメンの三種類があるらしいけれど、個人的には詳しくないから書けない。とにかく濃い濃いとんこつラーメンだ。
一幸舎のもののように納豆の風味があるわけではない。かと言ってそれほど豚臭いとも思わない。でも、でも、とにかく濃い。二口ほど飲み、飲みきることは不可能だと確信する。それでも、飲み続けてしまう。不思議だよ。
麺は細麺と中細麺から選ぶことができる。はじめは細麺を選び、替え玉は中細麺を選び、さらなる替え玉は細麺を選ぶ。ただ気に入ったからだ。はじめの二玉は硬めをお願いしたけれど、細麺のほうが硬めの良さを反映していたからだ。
接客は一幸舎に比べるとかなりさっぱりしているけれど、要求にはそつなく応えてくれる(一幸舎が要求に応えてくれない、という意味ではない)。個人的にはがんこもんの接客スタイルが好みだ。ご馳走様。
替え玉が膨らましたおなかをさすりながら中洲を目指す。途中、アクロス福岡および天神中央公園に立ち寄る。アクロス福岡、複合施設なのだけれど、特筆すべきはその外観だ。公園側の外壁が階段状になっており(実際に上ることができる。日本語ペラペラ欧米人に、何時からでしょうか?と尋ねられた)、そこに夥しい量の植物が植えられている。大方のケースと同様に、Google画像検索ではなく実物を見るべき一例である。どことなくジブリっぽいなという雑な印象を受ける。それから、誇張ではなく、地球奇跡(自分が長らくお世話になったSさんの造語)という言葉が頭をよぎる。晴れてるし、そりゃ、公園のど真ん中に寝転んで眠っちまうよね。公園も公園で植生が豊かだし。わりと良い朝の出だしだ。
これらアクロスおよび公園を横切り橋を渡るともう中洲である。迷わずに歩けば天神から五分程度だろうし、中洲に接続された橋はいたるところにかかっているから、アクセスは良い。良い意味において、福岡は狭い(同程度の距離をそのまま東進すれば、もう博多である)。
中洲、中央→南端→北端の順に周る。中央部には博多座?なんかがありハイソの雰囲気が漂う。南部にはお水のお店が密集している。中洲無料案内所あんなに要らんでしょう!めちゃ多い。中央部にまである。勝手に夜の街だと踏んでいたけれど、店先にはスーツを着込んだかなりガラの悪いお兄さんが立ち、かなり愛想良く客引きしている。「(手をパン!と叩き通行人の注意を引いてから)朝ソープどうでしょ!一万三千円ですよ!」といった調子であり、オノマトペを添えるとすれば「ニコ…」が妥当である。北部には、比較的、ホテルと高層住宅が多い気がする。北端には公園があり、二人のおじいさんがゲート・ボールを楽しんでいる。
一通り中洲を見物したのち、昨日Nさんと落ち合った警固神社わきの広場に再び向かう。どういったわけか落ち着くのだ。そして午後、再びNさんと落ち合う。
案の定ふらっふらのNさんとともにカフェが点在するという今泉?エリアを歩き、カフェに入る。自分は野菜カレーの大盛をオーダーし、Nさんは店名の入ったハンバーガーのスモールをオーダーする。かつての勤務先の思い出、人類と機械の共存ソロモン諸島などについて話が弾む。案の定ふらっふらのNさんはハンバーガーを一口二口しか食べられない。朝にヤクルトをがぶ飲みしたためおなかの調子が芳しくないらしい。挙句、自分は協力するも残し、◯◯くんが食べる言ったから頼んだのに!と言われてしまう。再び相も変わらない。
と、時間がぎりぎりであることに気づく。カフェにて話し込み時間を忘れるとは良い意味で女性的だ。入店前、女子力あげちゃう⤴︎?などとNさんがふざけていたことがよぎる。ただしこのケースにおいては時間を忘れることは悪い意味を持つ。急ぎ支払い駅に急ぐ。大阪へは新幹線に乗って帰る。融通の利かない指定席チケットを購入してしまったからだ。実は地下鉄空港線天神駅から新幹線の発着駅である博多駅に連れて行ってくれる)の改札がかなり遠かった。博多っ子のNさんは福岡の電車に五回くらいしか乗車したことがないと言う。人のごった返す地下街をすり抜けなんとか改札に辿り着く。ぶわーーっと手を振り挨拶をし別れる。Nさんと遊ぶ際、遊び自体はきわめて濃く笑えるものなのだけれど、会うとき別れるときはきわめて淡いものとなる。不思議だ。
ともかく地下鉄(激混み)に乗り込み、博多に駅に着く。まだまだ千切れそうな首を振り新幹線の改札を見つける。乗るべき列車はもうホームにいる。乗る。セーフだ。ああ、疲れた。Nさんにメッセージを送りソロモン諸島ネタでふざけ合い、夢中で眠る。

起きると首が少し回復している。腰は既にいつの間にか回復している。寮のLINEが活発だ。明日は月曜日だ。うん、自分は明日から戻っていくのだと自分に言い聞かせる。オーケー、首に不安を残しつつも戻っていくことはできる。同時に、いま強く想うことには、自分はいつか福岡に戻っていくのだ。